知っておかないと怖いプライバシー
~聞いていいこと、ダメなこと~

こんにちは、ライターYです。
今回は「知っておかないと怖いシリーズ三部作(勝手に命名)」最終回として、プライバシーについてお話ししたいと思います。
*ちなみに第1弾はこちら、第2弾はこちらからご覧ください

コロナ禍で急速にリモートワークが普及したこともあり、しばしばプライバシーが話題になりますよね。私もリモートワーカーなのですが、オンライン会議ツールによってはバーチャル背景機能がなく、期せずして背景に部屋が写りこんでしまって嫌な思いをしたこともありました(現在は対策済み)。

そんな私のような人がいるのでしょう、ぼっちてんとなるシロモノが売れているんだそうです。え、これ、欲しい。出社だとしても欲しい。

プライバシーは、こういった「見える」部分だけではありません。むしろ「見えない」部分の方が多いでしょう。「信頼して相談したことが社内で筒抜けだった」「こんなことを聞かれたけど答えなきゃいけないの?」という経験、ありませんか? 社内でプライバシーへの配慮が欠けていると、従業員のストレスが蓄積して離職につながることもあります。せっかく採用できた人材が流出してしまうのはもったいないこと。定着率を上げるためにも、まずは社内できちんとした認識を持つことが大事ですよね。

今回は職場でどういったことが【プライバシー】にあたるのかを解説します。堅めの話題となりますが、知らず知らずのうちに従業員や求職者のプライバシーを侵害しないために、ぜひご一読ください!

プライバシーその1《病歴・通院歴》

病歴や健康診断結果などは「要配慮個人情報」に指定されています。「要配慮個人情報」とは、本人の同意を得ないで取得することが禁止されている情報で、本人の意図しないところで第三者への提供がされることがないように規律が設けられています。このなかには人種、思想、社会的身分、犯罪歴、犯罪被害歴、心身機能障害の診断歴などが含まれます。

持病を持つ従業員への配慮のためであっても、その情報を他者に共有する場合は本人への確認・許可が必要です。また、選考段階で持病の有無を聞いたり、健康診断結果を持参させることもタブーとされています。

現在も続く新型コロナウイルス問題もナーバスですね。
職場で感染者が発生した場合、企業規模によりある程度個人が特定できてしまうことは仕方ないですし、濃厚接触者の割り出しも必要なことから、当事者の近辺には情報提供がなされるでしょう。ただしこれは必要最低限であるべきです。たとえば全社に「●●部の▲▲さんが感染しました」という情報を公開するのは必要でしょうか? 所属部署や隣接部門、感染した従業員の申告などからどこまで情報を提供するのか慎重に判断しましょう。

 

プライバシーその2《有給取得理由》

有給休暇の申請時に理由を聞かれる……あるあるかもしれませんが、実はこれは違法。有給休暇は労働者の権利ですので、権利行使にあたって理由は必要ありません。原則としてどのような理由でも有給休暇は取得できます。

ただし、理由を聞いたからと言って即違法というわけではありません。有給休暇の取得申請書に理由欄があることも一般的。ここには「私用のため」と書けば充分です。会社の権利として「時季変更権」があり、有給休暇の取得により事業の運営を妨げる場合は、労働者に有休取得日を変更してもらうことができます。時季変更を要請するかの判断材料として必要な範囲であれば理由を聞いても問題はありません。

下記のような場合は違法となる可能性がありますので、人事の方は把握しておきましょう。

  • 「私用」以上の理由を伝えないと有休取得ができない
  • 申請理由によっては有休取得を拒否している
  • 有給取得が原因で給与査定や人事考課で不利益を受ける場合がある
  • 時季変更を要請されたが、別日にも取得させていない
  • 退職時の有休消化に対する時季変更の要請

また、上記のような不当な扱いを受けた場合は労働組合や労働基準監督署で相談に乗ってもらえます。検討する場合はメールや録音など証拠を残しておくといいでしょう。

 

プライバシーその3《プライベートな話題》

「会社の人にプライベートの話を聞かれて嫌な気持ちになった」
「あの人にだけ話したのに、なぜか社員全員が知っている…」

そんな思いをしたことがある方も多いのではないでしょうか。小学館のファッション誌「CanCam」公式サイトが今年10月30日に発表したアンケート調査によると、職場で同僚や上司からプライベートな話を聞かれることに対して、半数以上が「抵抗がある」と答えています。

「休みの日に何をしてるの?」「恋人とはうまくいっているの?」「どれくらい貯金してるの?」など、コミュニケーションの一環として話題にのぼることはあるかもしれませんが、会社の業務とは関係ない話題を強制するとプライバシー侵害になりえます。

これが原因で従業員に精神的・肉体的苦痛を与えたり、職場の環境を悪化させていたりすれば、ハラスメントにも該当しますので、確認しておきましょう。

パワハラになる例

職場での地位や人間関係における優位性を利用して、必要以上にプライベートに干渉する

セクハラになる例

業務に関係のない恋愛・結婚の話題や性的な話題を詮索・干渉する

モラハラになる例

プライベートの過ごし方や考え方など個人の生き方・人格を否定したり、尊厳を傷つける

 

プライバシーを侵害すると…

まず、プライバシー侵害の基準からみていきましょう。下記の4つの基準を満たすとプライバシーの侵害と判断されます。

  1. 公開された事柄が私生活上の事実と受け取られる可能性があること
  2. 一般人の感受性を基準にして当人の立場になった場合、公開されたくないであろうと認められる事柄であること
  3. 一般人に知られていない内容であること
  4. 公開によって当人が実際に不快・不安に思ったこと

1.は公開された事柄が事実ではなかった(噂レベル)だったとしても、事実として受け取られる可能性があれば当てはまります。

プライバシーの侵害は刑法上の犯罪行為にはなりません。しかし民法上では709条・710条の不法行為責任を負うことになりますので、慰謝料請求を受ける可能性があります。

 

まとめ

いかがでしょうか?
知らず知らずのうちに他社のプライバシーを侵害してしまうのは恐ろしいこと。プライバシーの問題はハラスメントにつながりやすいので注意が必要です。
ただ、一人ひとりが正しい知識を身につけ、想像力を働かせて注意を払うだけで、未然に防ぐことができることばかり。従業員みんなが快適な職場環境をつくるために、一人ひとりが心掛けていきましょう。

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