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採用支援

入社直前の内定辞退に人事ができる対応とは?原因と防止策を解説

更新日:2025.09.17

入社直前の内定辞退は、採用計画に大きな影響を及ぼし、人事担当者にとって頭の痛い問題です。
多大な時間とコストをかけた採用活動が、入社を目前にして白紙に戻ることは、企業にとって大きな損失となります。

この記事では、入社直前の内定辞退が発生した際の具体的な対応手順から、辞退が起こる根本的な原因、そして今後の採用活動で同様の事態を防ぐための実践的な予防策までを網羅的に解説します。

入社直前の内定辞退が企業にもたらす経営上のリスク

入社直前の内定辞退は、採用担当者の労力が無駄になるだけでなく、企業経営に直接的な悪影響を及ぼします。

まず、求人広告費や人材紹介会社への手数料、選考に関わった社員の人件費など、それまで投じてきた採用コストが全て損失となります。
また、本来配置されるはずだった人員が欠けることで、事業計画に遅れが生じたり、既存の社員へ業務負担が集中したりする事態に陥ります。その結果、現場の疲弊や生産性の低下を招きかねません。
さらに、急な欠員を補充するために再度採用活動を行わなければならず、追加のコストと時間が発生します。

これらの影響は、特に人員計画が厳しい中小企業やベンチャー企業にとって、無視できない経営上のリスクです。

内定者から入社直前に辞退の連絡が来た際の対応手順

入社を目前に控えた内定者から辞退の連絡を受けると、人事担当者は動揺しがちですが、このような時こそ冷静かつ適切な対応が求められます。感情的な対応は企業の評判を損なうリスクがあるため、まずは辞退の事実を受け止め、今後の採用活動に活かす視点を持つことが重要です。

ここからは、辞退連絡を受けた際に人事が取るべき具体的な対応手順を、法的な注意点も交えながら順を追って説明します。

まずは冷静に辞退の理由をヒアリングする

内定者から辞退の連絡があった場合、まずは相手の意思を尊重し、冷静に話を聞く姿勢が重要です。
この段階で無理な引き留めを試みても、覆る可能性は低いでしょう。重要なのは、辞退に至った理由を真摯にヒアリングすることです。

その目的は、個人を責めるためではなく、自社の採用プロセスや内定者フォローに改善点がないかを探るためです。
「差し支えなければ、今回の決断に至った理由をお聞かせいただけますか」といったように、相手が話しやすい雰囲気を作りましょう。
直接会うか、少なくとも電話で話す機会を設け、本音を引き出すよう努めることが、今後の採用活動の貴重なデータ収集につながります。

入社手続きで渡した書類や備品の返却を依頼する

内定辞退の意思が固いことを確認したら、速やかに事務手続きへ移行します。
入社手続きの過程で、すでに雇用契約書や入社承諾書、身元保証書といった書類や、PC、制服、社員証などの備品を渡している場合があります。これらの物品はすべて会社の資産であるため、確実に返却してもらう必要があります。
どの物品をいつまでに、どのような方法(郵送や手渡しなど)で返却してもらうのかを明確に伝えましょう。

特に個人情報が含まれる書類の取り扱いには細心の注意を払い、双方にとって円滑に手続きが完了するよう、丁寧なコミュニケーションを心がけることがトラブル防止の観点からも不可欠です。案内はメールなど書面に残る形で行うのが望ましいです。

損害賠償請求など法的なトラブルを避けるための注意点

内定辞退によって企業が損害を被ったとしても、内定者に対して損害賠償を請求することは、法的に見て極めて困難です。民法では、労働者は2週間前に申し出ることで労働契約を解約できると定められており、内定者の辞退の自由も広く認められています。

高圧的な態度で辞退を撤回させようとしたり、損害賠償をちらつかせたりする行為は、企業のイメージを著しく損なうだけでなく、「オワハラ(就活終われハラスメント)」と見なされるリスクもあります。会社の評判低下を防ぐためにも、感情的な対応は厳に慎むべきです。
法的な措置を検討する前に、あくまで円満な解決を目指し、事務的な手続きを粛々と進めることが賢明な判断です。

なぜ入社直前での内定辞退は起こるのか?考えられる主な理由

入社直前の辞退という事態は、単一の原因で起こるわけではありません。
内定者が内定を承諾してから入社日を迎えるまでの期間に、心境の変化や外部からの影響など、様々な要因が複雑に絡み合って発生します。企業側がこれらの理由を深く理解することは、効果的な辞退防止策を講じるための第一歩です。

ここでは、入社直前の内定辞退を引き起こす主な理由として考えられる4つの側面を掘り下げて分析します。

他社からより条件の良い内定が出たため

内定辞退の最も一般的な理由の一つが、他社からより魅力的な条件を提示されるケースです。
特に複数の企業から内定を得ている優秀な人材は、給与や賞与といった金銭的な待遇だけでなく、勤務地、福利厚生、役職、業務内容などを総合的に比較検討しています。

内定承諾後も、より志望度の高かった企業から内定の連絡が来たり、当初は考えていなかった企業から好条件のオファーを受けたりすることで、気持ちが揺らぐことがあります。そのため、自社の提示する条件が、市場の相場や競合他社の水準と比較して見劣りしないか、定期的に見直すことが求められます。
また、条件面だけでなく、企業のビジョンや働きがいといった非金銭的な価値を伝えることも重要です。

内定承諾から入社日までの期間で不安が大きくなったため

内定を承諾したものの、入社日までの期間が長引くにつれて、内定者が漠然とした不安を募らせることは少なくありません。「本当にこの会社で活躍できるだろうか」「職場の人間関係にうまく馴染めるか」といった、いわゆるマリッジブルーに似た心理状態に陥ることがあります。
この期間に企業側からのフォローが不足していると、内定者は孤独感を深め、自身の選択に対する自信を失っていきます。

特に、新卒採用などで社会人経験がない場合、働くこと自体への不安が辞退の決断につながることもあります。
企業からの定期的なコンタクトがないと、内定者は「自分は本当に歓迎されているのか」と疑心暗鬼になり、他の選択肢を検討し始めるきっかけとなります。

企業の評判や口コミサイトでネガティブな情報を見たため

現代の求職者は、企業の公式ウェブサイトや採用パンフレットの情報だけでなく、第三者の評価を非常に重視します。
特に内定承諾後、入社を決めた企業について改めて詳しく調べる中で、口コミサイトやSNS上で元社員や現役社員によるネガティブな書き込みを目にすることがあります。

例えば、「残業が常態化している」「人間関係が悪い」「評価制度が不透明」といった情報に触れると、選考過程で抱いていた良いイメージとのギャップから、急激に入社への意欲が減退します。
こうした情報が辞退の直接的な引き金になるケースは頻発しており、企業は自社に関する外部の評判を常にモニタリングし、真摯に向き合う姿勢が不可欠です。

内定後のコミュニケーション不足で入社意欲が低下したため

選考中は手厚いフォローがあったにもかかわらず、内定を出した途端に連絡が事務的なものだけになったり、連絡頻度が極端に減ったりすると、内定者は企業との心理的な距離を感じ始めます。結果として、自分への関心が薄れたと感じ、歓迎されていないのではないかという疑念を抱くようになります。

このようなコミュニケーション不足は、内定者が企業への帰属意識を醸成する機会を奪い、入社意欲を徐々に低下させていきます。特に、他の選考も並行して進めている内定者の場合、他社からの手厚いアプローチがあれば、そちらに心が傾いてしまう可能性が高まります。
内定後も継続的に関係性を構築し、企業とのつながりを維持していく努力が求められます。

今後の採用活動で入社直前の辞退を防ぐための予防策

入社直前の内定辞退を完全にゼロにすることは難しいかもしれませんが、適切な対策を講じることで、その発生率を大幅に低減させることは可能です。
重要なのは、内定をゴールと捉えるのではなく、内定者と継続的な関係を築き、入社までの期間の不安を解消し、期待感を高めていく「内定者フォロー」の視点です。

ここでは、今後の採用活動に取り入れるべき、具体的かつ効果的な辞退防止策を紹介します。

内定者フォロー面談を定期的に実施する

内定承諾から入社までの間に、人事担当者や配属予定部署の上司、先輩社員などが内定者と1対1で話す面談の機会を定期的に設けましょう。この面談は、内定者が抱えている不安や疑問を直接ヒアリングし、解消するための絶好の機会です。
入社後の業務内容やキャリアパスについてより具体的に説明したり、プライベートな近況を尋ねたりすることで、内定者は「自分は一人の人間として大切にされている」と感じ、企業への信頼感を深めます。

オンラインでの実施も可能なため、月に1回など頻度を決めて計画的に行うことで、内定者の心理的な変化を早期に察知し、適切なフォローにつなげることができます。

社員と話せる懇親会や社内イベントを企画する

多くの内定者が抱く不安の一つに、職場の雰囲気や人間関係への懸念があります。この不安を解消するためには、実際に働く社員と直接交流する機会を提供することが極めて効果的です。

例えば、内定者向けの懇親会やランチ会を企画したり、既存の社内イベントに招待したりすることで、内定者はリアルな社風を肌で感じることができます。現場の社員から仕事のやりがいや大変さといった生の声を聞くことは、入社後の働く姿を具体的にイメージさせ、ミスマッチを防ぎます。
また、内定者同士が顔を合わせる場を設けることで、同期としての連帯感が生まれ、入社へのモチベーション向上にも寄与します。

入社後のキャリアプランや研修制度を具体的に伝える

内定者は、入社後に自分がどのように成長していけるのか、将来どのようなキャリアを歩めるのかという点に強い関心を持っています。
内定後の面談や資料提供の場で、入社後の研修スケジュール、配属先でのOJT(On-the-JobTraining)の内容、数年後のキャリアモデルなどを具体的に示しましょう。

「入社1年目ではこのスキルを習得し、3年後にはリーダーとしてこのようなプロジェクトを任せたい」といった明確なビジョンを共有することで、内定者は自身の成長イメージを描きやすくなります。
企業の育成体制や成長を支援する姿勢を具体的に伝えることは、内定者の働く意欲を刺激し、入社への決意を固める強力な後押しとなります。

内定承諾の前に雇用条件や待遇を再度すり合わせる

聞いていた話と違うという入社後のミスマッチは内定辞退の大きな原因となり得ます。
これを防ぐためには内定承諾をもらう最終段階で雇用条件や待遇について改めて詳細なすり合わせを行うことが不可欠です。

労働条件通知書に記載されている給与賞与休日勤務時間といった基本情報はもちろんのこと、残業時間の実態評価制度福利厚生の詳細など内定者が疑問に思いそうな点について、企業側から積極的に情報開示を行いましょう。
質問の時間を十分に設け、すべての疑問点をクリアにした上で内定を承諾してもらうプロセスを踏むことで後々の認識のズレを防げます。そして内定者の納得感を高めることが、辞退リスクの低減に直結します。

内定辞退を防止する施策については、こちらの記事も参考になります。
新卒・中途採用の内定辞退防止策|今日からできる、入社意欲を高めるコツとは?
今からでも間に合う!内定辞退の防止に役立つ5つの施策

まとめ

入社直前の内定辞退は、採用コストの損失や事業計画の遅延など、企業に多岐にわたるダメージを与えます。
万が一辞退の連絡を受けた際には、感情的にならず、その理由を冷静にヒアリングし、今後の採用活動の改善に繋げることが肝要です。

辞退の背景には、他社の好条件、内定期間中の不安増大、ネガティブな口コミ、企業とのコミュニケーション不足など、複数の要因が考えられます。これらの辞退を未然に防ぐためには、内定を出して終わりではなく、入社まで内定者の意欲を維持し、不安を解消する継続的なフォローが不可欠です。
定期的な面談の実施、社員との交流機会の創出、キャリアパスの明示などを通じて、内定者との信頼関係を構築していくことが、優秀な人材を確実に確保するための鍵となります。

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