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Instagram採用とは?他SNSとの比較や企業事例を含めて解説
更新日:2024.11.05
スマートフォンが普及した現代では多くの人々がSNSを利用しており、採用市場にも変化が起こってきました。本記事では、その中でも「Instagram(インスタグラム)」に着目し、採用活動への活用方法やメリット・デメリットについて解説していきます。
Instagram(インスタグラム)採用とは
Instagram採用は、写真や動画を活用して企業の雰囲気や文化、社員のリアルな姿を求職者に伝える手法です。社員の日常やイベントの様子をシェアすることで、求人原稿や採用サイトからは伝わらないリアルな姿を見せ、企業と求職者の間でより質の高いマッチングを実現します。特に20~30代の若手人材に向けた採用活動で有効でしょう。単に求人情報を伝えるだけでなく、企業の独自性や働く環境の魅力を最大限に引き出すことのできる採用手法です。
採用専用アカウントと広告の活用
採用専用アカウントは、企業が直接求職者に向けた情報を発信する重要なツールです。実際の職場の雰囲気や社員の活動を紹介できるため、求職者は企業イメージを視覚的に把握しやすくなります。採用アカウントのKPI(目標指標)としては、フォロワー数やエンゲージメントが重要で、これによって企業の認知度を測ることができます。アカウントの運用は無料で始められますが、効果が出るまでには時間がかかるため注意が必要です。
一方、広告を利用することで、特定のターゲット層に向けた効果的な情報発信が行えます。広告は有料ですが、その分採用サイトや応募フォームなどへのリンク先への遷移数を追うことで、実際の採用成果を直接評価することができます。広告出稿におけるKPIは応募数や採用数の増加が目標となり、即効性があるため、短期間で成果を出したい企業には有効です。
各SNSとの比較
Instagramは視覚的なコンテンツを中心に構成されているため、直感的なデザインとユーザーインターフェイスによって、ターゲットとなりやすい20代〜30代の若手人材に馴染みやすい印象を与えているといえます。またストーリーやリールと呼ばれる短い動画を活用することで、企業メッセージを効果的に伝えることが可能です。求職者に対して「企業のリアルな雰囲気やカルチャーを伝えたい」「画像や動画を通してインパクトを残したい」と考えている企業にはInstagramがオススメです。
X(旧Twitter)
Xは国内で約4,500万人のユーザーを有し、その主な対象層は10代から20代です。このプラットフォームは情報の拡散性が極めて高く、フォロワー以外のユーザーにも広範にリーチすることができます。特に最新情報やトレンドに即応できるため、情報発信の即時性が求められる企業にとっては非常に強力なツールとなっています。
Facebook
Facebookは約2,600万人の国内ユーザーが存在し、その主な層は20代から40代です。実名登録が一般的であり、リアルな交友関係が反映されています。さらに、長文投稿が可能なため、一度に多くの詳細な情報を効果的に発信することができます。
LINE
LINEは国内で約8,400万人のユーザーが利用しているメッセージアプリであり、幅広い年齢層が利用しています。このアプリはメルマガ形式での情報発信に強みがあり、企業や個人が連絡ツールとして効率的に活用することができます。ただし、友だち追加を行っていないユーザーには情報を届けることができないため、アプローチ方法に制約がある点に注意が必要です。
YouTube
YouTubeは動画コンテンツをシェアできるプラットフォームで、国内ユーザー数は約6,200万人にのぼります。10代から50代まで幅広い年齢層が利用しており、多くのターゲット層にリーチすることが可能です。動画を通じて自社の取り組みや文化を詳しく紹介できますが、コンテンツ企画や動画制作には他SNSよりもコストがかかります。
Instagram採用のメリット
Instagramを使って採用活動するメリットは次の5つです。Instagramを活用した採用活動には、多くの利点が存在します。そのため最近の採用分野において、企業自身の魅力を効果的に引き出す手段となりつつあります。
1.明瞭なアピールが可能
Instagram最大の強みは、画像や短い動画を使って視覚的に訴求できる点です。他のSNSと比較してわかりやすく、テキストよりも印象に残りやすくなります。そのため、企業イメージの向上にも寄与するでしょう。
特に自社の文化や価値観を映し出したコンテンツを投稿することで、ブランド価値が自然に伝わるとともに、ミッションや自社ならではの魅力を発信することができます。これにより、求職者との接点を持ち、「他の企業ではなく、この企業で働きたい」と思わせることが可能となり、採用競合と差別化を図ることができます。
2.ミスマッチ防止
Instagramでは気軽な情報発信ができ、リアルな雰囲気や日常を伝えられるのがメリットといえるでしょう。実際の職場の様子や社員の日常を紹介することで、入社後のギャップを感じにくくなります。結果として、企業と求職者の間で期待値の調整が可能になり、採用後のミスマッチが減少する傾向があります。
また、求人情報や社内イベント、日常業務の様子など、多様な情報を投稿することで、求職者とのコミュニケーションが深まります。リアルタイムでの情報発信が可能なため、迅速な反応を得やすい点も魅力です。
3.転職潜在層へのリーチ
Instagramは、求人サイトや人材紹介とは異なり、転職目的で登録するサービスではありません。このため、一般的な転職サービスに登録していない転職潜在層や、数年後に就職活動を予定している学生層にもリーチすることが可能です。リーチできる人材の幅広さとその人数の多さは、SNSならではの大きなメリットでしょう。
4.コスト削減
Instagramでは求人サイトや人材紹介業者に頼らず、自社の求める人材へ直接アプローチできるため、従来の求人広告に比べて採用コストを大幅に削減することが可能です。さらに、企業認知度やブランド力が高まることで、自然な応募も期待できるようになります。投稿に対し、特別なスキルは不要ですし、写真がメインとなるためテキストの編集にもそれほど時間をかけずに済みます。
5.ターゲット設定
有料のプロモーションを利用することで、フォロワー以外にも広くリーチできます。ユーザーの登録情報やSNS上での行動データに基づくターゲット設定により、特定の年齢層や興味を持つ人々を狙った情報発信が実現します。さまざまな料金形態があるため、コストも調整しやすく、数万円程度の少額からでも利用できる点も大きな利点です。
従来の求人メディアへの掲載を繰り返す方法では、効率が悪くコストがかさむのに対して、Instagramは「伝えたい情報を、伝えたい人に届ける」ための効果的な情報伝達手段として使うことができます。
Instagram採用のデメリット
Instagram採用はメリットが多い反面デメリットも存在します。成功するためには他のSNSと同様に、これらの注意点を理解しておくことが重要です。
1.運用には人的コストがかかる
アカウントの制作は無料ですが、運用には一定の人的リソースが必要です。魅力的な投稿を制作するためには、写真や動画の撮影、編集、さらには投稿内容の構成を考えるスキルが求められます。
加えて、Instagramを含むSNSでは更新頻度が低いとすぐ他の情報に埋もれてしまいがちです。どんなに内容が優れていても、定期的に更新しないと求職者の目にとまりません。また、投稿後にはリアクションやコメントに対する対応も必要です。
これらの作業は特に小規模な企業にとっては手間になりがちで、場合によっては専門の担当者を配置する必要が出てくる場合もあります。気軽にはじめられる一方で、納得のいく運用やコンテンツ制作にはそれなりのコストがかかるため注意が必要です。
2.効果が出るまで時間がかかる
多くの企業がコンテンツを投稿している中で目立つためには、継続的な情報発信と信頼性のあるブランド構築が求められます。これは知名度の低い企業がいきなり多くのフォロワーを獲得することができないことからも明らかです。「フォロワー数が増えた」「求職者からの問い合わせが来るようになった」など、具体的な効果を実感するまでには時間がかかるでしょう。
コツコツと行う努力が求められる一方、競争も激しいため、早急に応募者を集めたい企業にとっては難しい選択肢となることがあります。
3.企業イメージが低下するリスクも
投稿内容や対応が不適切な場合、企業イメージが低下するリスクがあります。Instagramを含むSNSでの投稿は、更新した瞬間に不特定多数の人の目に触れ、シェア機能で拡散される可能性があります。認知度のアップに繋がる反面、誤った情報やネガティブな反応が広がってしまうリスクもあります。ユーザーからのクレームや不当な評価が投稿されると、その影響は企業に直結するため、常に注意深い運営が求められるでしょう。
誤解を招く表現や個人情報の取り扱いには十分注意し、投稿前に責任者がWチェックするなどの慎重な判断と管理体制が重要です。
Instagramのおすすめ機能
Instagramには、採用活動を効果的にサポートするためのさまざまな機能があります。目的に合わせた機能を活用することで、企業の魅力をより効果的に伝えたり、求職者との接点を増やすことが可能です。
1.フィード投稿
フィードはアプリを開いた際にメインに表示される部分で、いわゆるタイムラインに表示される投稿です。投稿は削除しなければ長期間にわたって残るため、企業ブランディングにも役立ちます。さらに、ハッシュタグを活用することで多くの人々にリーチすることができます。
2.ストーリーズの活用
ストーリーズは国内のデイリーアクティブユーザーの70%が閲覧するInstagramならではのコンテンツで、投稿から24時間で自動的に消えるリアルタイムな性質が特徴です。また、フィードの投稿告知をストーリーズで行うことで、フィードへのリーチ数も高められます。投票やコメントなどのインタラクティブな要素を取り入れたり、フィードとは異なる内容を発信したりすることで、エンゲージメントを高めてファン化を加速させるチャンスにもなります。
3.リールで短い動画を投稿
リール機能では、最大60秒の短い動画を作成して投稿することができます。音楽やエフェクトを加えることもでき、クリエイティブな表現が行えるエンターテインメント性が高い形式です。視覚的・聴覚的にインパクトを与えることができるので、短時間で企業の魅力を伝えたり、社内イベントの様子を軽快に見せたりすることで、求職者の興味を引くのに適しています。リールは隙間時間でも見ることができるため、閲覧ハードルの低さも大きな特徴です。
4.ライブ配信の活用
「インスタライブ(インライ)」とも呼ばれる配信機能は、リアルタイムで視聴者と双方向のコミュニケーションを行える機能です。視聴者がコメントを入力し、それに対して配信者が即座に回答することで、親近感を持たせる場が生まれます。このリアルタイムのやり取りは、企業側と視聴者両方に利点があり、企業の透明性を高める効果があります。また、事前に作られたコンテンツとは異なり、担当者の人柄や企業文化が直接伝わるため、視聴している求職者の信頼を得やすくなります。
Instagram採用を成功させるポイント
Instagram採用を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。これらの戦略を具体的に体現することが、成功の鍵となります。
1.「対企業」から「対人」へ
従来の採用活動では、企業側から一方通行な情報提供が中心でしたが、Instagramを活用することで「対人」の視点を取り入れられます。社員が自らの声で企業文化や雰囲気を伝えることで、求職者との距離が縮まります。
Instagramで採用活動を行う際は、アイコンに実際の採用担当者の写真を設定するというのも手段のひとつです。パーソナルなアプローチが求職者との距離を縮めるポイントとなり、応募意欲の向上につながることがあります。年度ごとに採用担当者が変わる場合は、ストーリーズなどで事前に「採用担当変更に伴いアイコンが変わる」旨を告知しておくと、フォロワーの減少を防止できます。
2.リアルさを魅力にする
求職者は、公式なPRだけでなく、リアルな社内の様子や社員の日常を知りたいというニーズを持っています。Instagramを利用することで、そうした日常的な業務風景やイベントの様子を率直に発信することが可能です。ただ美しい写真を載せるだけでなく、実際の職場のリアルな側面を見せることで、企業の信頼性を高め、求職者に安心感を与えます。
優秀な人材からの応募を期待して着飾った内容の投稿をするのは避け、入社後のミスマッチを防ぐためにも、正直な目線から企業の魅力を発信することが重要です。どんな企業にも独自の魅力や良さがありますので、それを見つけて率直に伝えることで、企業に合った求職者が必ず見つかるでしょう。
3.コンセプトの一貫性
採用活動で発信するコンテンツが多様化する中、一貫したブランドイメージを保つことが重要です。
発信をはじめる前には、「企業に必要な人材像」の明確化が欠かせません。求める人材像を決めたら、その人材へのアピールにつながる内容を考えて発信を続けましょう。各投稿が企業のビジョンや価値観と合致するように内容を統一することで、求職者に強い印象を与えることができます。
多くの求職者を集めようとしてコンセプトを定めず発信を続けても、かえって誰にも刺さらない内容となり、運用が無意味に終わってしまいます。企業を構成する要素として次の6つの点を洗い出し、コンセプトとして抽出してみると良いでしょう。
4.エンゲージメントの確認
投稿後のフォロワーとのエンゲージメントをしっかりと確認することで、採用活動の戦略を調整できます。いいねやコメント、シェアの数を定期的にチェックし、どのコンテンツが特に関心を引いているかを分析することで、より効果的な情報発信が可能になります。
企業側が一方的に情報発信するのではなく、Instagram上でコミュニケーションを図ることが重要です。やり取りを通じて求職者のエンゲージメントが高い状態をキープできれば、ミスマッチの少ない採用が実現します。一方で、エンゲージメントが低い場合は、コンセプトを見直すなどの対応が必要です。
5.プロアカウントの利用
プロアカウントという無料機能を利用することで、Instagramを最大限に活用できます。プロアカウントに切り替えると、投稿へのリーチ数やプロフィールへのアクセス数、フォロワーの属性(性別、年齢、所在地など)を確認できる「インサイト」を見ることが可能になります。特に、プロフィールへのアクセス数は応募への期待値の高い求職者にリーチできている指標となります。このデータをもとに採用活動の改善点を見出し、企業に興味を持っている求職者を取りこぼさないよう、積極的にアプローチをかけていきましょう。
ただし、インサイト機能でフォロワーの属性を確認するためには、最低でもフォロワー数が100人以上必要です。そのため、まずは100人以上のフォロワーを集めることから始めましょう。
企業の成功事例5選
続いて、実際にInstagram採用を実施している企業の成功事例を5つご紹介します。ぜひ各社の取り組みを参考にしてみてください。
1.株式会社サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントは広告業界でのデジタルマーケティングを中心に、AmebaやCygamesなど様々な事業を手掛ける企業です。新卒採用のInstagramでは、なんとアルバイトとして働く内定者が運用を担当。ターゲット層とより近い視点でクリエイティブなオフィス環境や若手社員の活躍をアピールし、求職者からの関心を集めています。
社員の1日に密着した動画や事業部の紹介動画、内定者の対談動画など、多くの動画コンテンツが掲載されており、社内の理解促進にも役立っています。また、オフィスツアーなどの抽選イベントを開催する際には応募条件をフォロー+シェアにすることで、フォロワーの獲得に繋げています。
2.ディップ株式会社
ディップ株式会社は、「バイトル」などのインターネット求人広告サイトを運営する企業です。新卒採用専用のアカウントを作成して社員の日常や社内イベントをシェアし、求職者に対して企業文化をリアルに伝えています。特に、内定者へのインタビューや1日密着企画、オフィスの様子を紹介することにより、「働いてみたい」と感じさせる工夫がされています。
さらに、社員のコーディネートやバッグの中身など、他の採用アカウントでは見られないトピックも取り入れ、ユーザーの興味を引く内容を発信しています。
3.ユニリーバ・ジャパン株式会社
ユニリーバ・ジャパンのアカウントは、採用担当ではなく新卒社員が運営するというコンセプトが特徴。「自分が就活生のとき、どんな業界・職種を見ていたか」を紹介するコンテンツは、就活生にとって非常に有益な情報です。社員の活動やプロジェクトを紹介することで、ブランドへの理解を深めさせながら、自社の理念に共感する求職者を誘引しています。
また、新卒採用の公式アカウントにて、自社商品に関する情報も発信しています。ユーザーが「次の投稿も必ずチェックしたい」と思えるような役立つ情報を発信できれば、同社のように多くのフォロワーを獲得できるでしょう。
4.JAL(日本航空株式会社)
日本航空は、普段見ることのできない職場の裏側を見せることで、求職者に臨場感あふれる企業の実態を伝えています。また、フライトや旅をテーマにしたコンテンツを展開し、航空業界に興味を持つ人材をターゲットにしています。
特に客室乗務員の採用に力を入れており、「社員紹介」「業務風景」「会社の雰囲気」の3つを発信しています。目を引くのは、フィード投稿のテキスト欄ではなく、写真自体にテキストを盛り込んでしまう手法。文字も大きく、一目で内容がわかりやすい点が特徴です。
5.株式会社リソースクリエイション
株式会社リソースクリエイションは、社風の発信に特化したアカウント運用を行っています。Instagram上では、社内イベントや社員の日常を発信することで、求職者以外にも自社の魅力を伝えています。
Instagramフォロワー数は約8.2万人(2024年11月時点)と企業アカウントの中ではかなり多く、求職顕在層だけでなく潜在層にもアプローチを行えていることがポイントです。他社との差別化を図る投稿により、企業の雰囲気や可能性を具体的にイメージしやすく、応募意欲を高める効果を得ています。