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【採用担当必見】ペルソナとは?具体例を用いて作り方を徹底解説!
更新日:2024.11.01
新卒採用や中途採用において、初めてペルソナを設計しようとしている方や、過去に設計したものの期待通りの成果が得られず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。本記事では、具体的なペルソナの設計方法や設計時のポイントについて詳しく解説します。
ペルソナの基本理解
ペルソナとは、もともとはマーケティングにおいて活用されている概念で、「サービスや製品を利用する顧客モデル」を指します。
ペルソナ設計では、年齢、性別、家族構成、職業、趣味や特技、価値観、志向、ライフスタイルなどといった特定の人物を表す要素のテンプレートから、自社が求める架空の人物像を作り上げます。この手法により、単なるデータや数字だけでは捉えられない候補者の行動や志向、価値観が明確になります。
採用ペルソナとは
採用ペルソナとは、ペルソナを採用活動に置き換え、「最も採用したい理想の人物像」を表したものです。市場で求められるスキルや経験だけでなく、文化的・生活的なバックグラウンドも考慮に入れることで、企業文化に合致した求職者を見極める基準が確立され、より的確に人材を発掘できます。
さらに、採用したい人物像を明確化することで、自社にマッチする人材に絞って適切なアプローチができるようになります。これは、採用活動の効率化やミスマッチ防止に貢献しています。求職者の価値観や働き方が多様化し、労働人口の減少による採用競争が激化する今、企業にとって自社にマッチした人材を採用するためには、「マーケティングの視点」が欠かせません。
ペルソナとターゲットの違い
「ペルソナ」とよく混同される言葉として「ターゲット」がありますが、それぞれ明確な違いがあります。
ターゲットは年齢・性別・職歴などの属性によって対象を絞り込んでいくのに対し、ペルソナは架空の人物を想定して詳細な人物像を作り上げていきます。採用ターゲットは「求める人材の層」を表しているのに対して、採用ペルソナは「特定の1人の人物」を表しており、パーソナリティを持っている点が大きく異なる箇所です。
具体例を挙げると、「30代・男性・営業職」というターゲットは、ペルソナでは「都内在住の31歳の男性、営業経験5年、趣味はスポーツ観戦」といったプロフィールになります。採用ターゲットのみの設定では、どんな価値観・行動特性・ビジョンをもっている人材なのかイメージできないため、採用担当・現場・経営層の間で認識のズレが生じる恐れがあります。しかし採用ペルソナを設計すれば、具体的な人物像を思い描けるため、社員間で共通認識を持てるようになるでしょう。
採用ペルソナを設計するメリット
採用活動においてペルソナを設計することで、以下のようなメリットを得られます。
共通認識の形成
共通認識を形成することで、採用したい人物像に対する社員間の認識のズレを防ぐことができます。採用ペルソナを基にした選考を行うことで、教育を受けた面接官が同じ価値観や基準を持つようになり、面接の結果が一貫性を持つようになります。これにより、面接官が複数人いる場合でも、それぞれの主観による評価を防ぐことができ、公平な面接が実現します。
この一貫性があれば、優秀な人材を発見する確率が高まり、実際の職場環境にマッチした人材を採用するための土台を固める役割も果たします。結果として、一つの目標に向かって進むチームとして機能することが促進されます。
採用活動の効率化
採用活動を効率化するためにも、ペルソナの設定は非常に有効です。採用ペルソナを設計することで、求める人物像のパーソナリティまで細かく想定できるため、どのような手法でアプローチし、どの媒体で情報を発信するべきかなど、求職者の視点で採用戦略を立てられるようになります。理想的な人材像が明確になることで、最も効果的な採用手法や採用広報施策、スカウト文面を選択することが可能になり、採用活動の効率化が図れるでしょう。
さらに、ペルソナを設定することで、自社が求めている候補者の解像度が上がります。そのため、多くの候補者にアピールするのではなく、特定のペルソナに対して効果的な求人を作成することができます。こうした求人は競合他社との差別化を図ることができ、それまで応募してこなかった候補者からの応募増加も期待できます。この結果、効率的な採用プロセスが実現します。
ミスマッチ防止
採用活動におけるミスマッチを防ぐためには、ペルソナが非常に役立ちます。ペルソナを用いることで、求める人材の特性が明確化され、社内のさまざまな意見が反映された状態で採用プロセスを進めることができます。
例えば、採用担当・現場・経営層の間で求める人物像のイメージが異なる場合、入社後のギャップが生じる可能性が高まります。しかし、現場や経営層の意見も取り入れてペルソナを設計することで、自社にマッチする人材のみを採用できます。
また、ペルソナと同様の価値観を持つ人材の絞り込みもしやすくなります。結果として、採用後の早期離職を抑制し、長期間にわたって企業文化に貢献できる人材を確保することが期待できます。
ペルソナの作り方とステップ
ペルソナ設計においては、効率的な作り方が鍵となります。まずは、自社が望む理想の人材に関する情報を幅広く収集することが重要です。この段階では、従業員のインタビューや市場調査、現在活躍している社員の特徴など、多角的な視点から必要な情報を抽出します。集めたデータが多ければ多いほど、的確なペルソナが作りやすくなります。
必要な情報の洗い出し
ペルソナを設計するためには、必要な情報の洗い出しが欠かせません。まずは、採用ペルソナを設計する前に「採用する目的」を再確認しましょう。なぜなら、採用の目的によって人材に求める要素や優先順位が変わってくるからです。
そして、求める人物像の要件は、思いつくまま書き出していきましょう。経営陣や現場の意見をもとに考えるだけでなく、実際に活躍している社員へインタビューし、入社理由や就職活動時のエピソードを聞くとイメージが湧きやすくなります。さらに、職種ごとの求めるスキルや経験、価値観やライフスタイルを具体的に挙げていきます。
また、求める人物像に近いと思われる優秀な社員に対して適性検査を実施するのもオススメです。適性検査の結果を参照し、求める人物像の価値観や行動特性についてイメージを膨らませていきます。こうして具体的な情報を集めることで、その後のペルソナ設定に役立つ資料が揃います。
情報の整理と具体的なペルソナ設定
求める人材の要件が書き出せたら、その要件をもとに詳細な人物像を作り上げていきます。例えば、求める人物像として「協調性」という要件がある場合、その背景には「多くの人と関わり、チームで業務を行うことが多いから」という理由が考えられます。この場合、ペルソナとしては部活などでチーム活動をした経験のある学生や、多くの人と協力して何かを成し遂げた経験のある人物が適していると言えます。
「なぜそのスキルや資質が必要なのか」を念頭に置きながら、具体的なペルソナを設計することが肝要です。ビジネスフレームワークを利用した整理方法も効果的でしょう。
社内チームでのブラッシュアップ
ペルソナ設計後は、社内チーム全体でのブラッシュアップが重要です。このプロセスによって、作成したペルソナが実際の採用活動に役立つものになるか確認します。経営層や現場の社員からフィードバックを受けることで、目的や求める人物像からのズレを修正し、より実態に即したペルソナが完成します。
ペルソナの設計は一度で上手くいかないことが多く、年度によって求める人物像も変わります。一度設計したペルソナに固執せず、柔軟に調整や修正を行い、PDCAサイクルを回して精度を高めましょう。採用ペルソナは「絶対的な採用基準」ではなく、採用要件の認識を合わせるための材料と考え、全社での一体感を持った採用活動を実現することにつなげます。採用活動が終了した後も、現場や経営層と共に、年度ごとの変化を踏まえてペルソナの見直しを図ることが不可欠です。
ペルソナ設定のポイント
自社の価値を理解することは、ペルソナ設定において欠かせない要素です。自社の特性や強みを正確に把握しなければ、理想的な人材を描き出すことが難しくなります。次の5つの要素に基づいて「他社にはない自社ならではの魅力」を見つけてから設計をするようにしましょう。
1. 仕事内容
2. 事業内容
3. 社員
4. 文化
5. 制度
また、自社の魅力を客観的に理解するために、入社したばかりの若手社員に対してインタビューを行っておきましょう。入社の決め手や他社よりも優れていると感じた点を聞くことで、新たな魅力を発見することができます。この理解が深まることで、求める人材の志向や価値観をより的確に捉えることができ、結果的に採用活動の質が向上します。自社の魅力を語る際にも、ペルソナに基づいたアプローチが重要です。
複数のペルソナを考える
ペルソナ設定において、複数のペルソナを考えることは非常に有意義です。企業には様々な職種や役割が存在し、それぞれに求められるスキルや経験が異なります。例えば、「主力事業を支える人材」「将来の幹部候補となる人材」「新規事業を開拓する人材」など、活躍してほしい方向性によってペルソナを複数用意することで、組織の活性化に繋がります。この手法を活用すると、企業全体としてバランスの取れた人材構成を実現しやすくなります。
また、多様なペルソナを設定することにより、様々な背景や価値観を持つ候補者に対してアプローチが可能となり、対象範囲を狭めすぎることによる機会損失を避けることもできます。ただし、ペルソナが多すぎるとわかりづらくなるため、中途採用の場合は募集職種につき1〜2つ、新卒採用の場合は2〜3つ程度のペルソナを設定するとバランスが取れるでしょう。
市場のトレンドを反映する
市場のトレンドを反映することは重要なペルソナ設定のポイントです。特に、業界の動向や雇用市場の変化を常に把握し、それに合わせたペルソナを作成することで、競争力のある人材を確保することが可能になります。例えば、リモートワークの普及や働き方の多様化といった近年のトレンドを考慮に入れたペルソナを設定することが求められます。
また、ペルソナの志向性は、近年の労働価値観の変化も把握したうえで設計することが重要です。時代によって求職者が企業選びで重視するポイントや価値観は変わります。
最近の求職者は「仕事のやりがい」や「成長環境」を重視する傾向があり、副業や移住に前向きな求職者も増加しています。特にデジタル人材は「スキルアップが奨励される社風」に魅力を感じる傾向も。自社が望む人物像が現市場にどのように適応しているかを明確にし、選考基準やメッセージングを調整しましょう。
時代にあったペルソナを設計すると同時に、成長環境の整備やテレワークの推進など、現代の求職者が理想とする職場に近づけていくことが採用成功のポイントとなります。
ペルソナ活用の実践例
ペルソナは設定しただけでは意味がありません。これから紹介する3つのアクションを実行することで、採用を成功させましょう。
媒体選定
ペルソナを意識することで、どの媒体を選ぶかに大きな影響を与えることがあります。理想の候補者像に対してフィットする媒体を見極めるためには、そのターゲットが普段利用する情報源を考慮に入れることが重要です。
たとえば、若い世代を狙う場合は、SNSやオンラインプラットフォームが効果的です。
一方で、中堅層やベテラン層をターゲットにする場合は、業界専門誌や求人サイトの活用が相応しいでしょう。ペルソナがもっとも多く存在している媒体はどれかを検討し、費用対効果の高い媒体を選定するようにしましょう。特に、ダイレクトスカウトサービスは年齢や学歴だけでなく、ベンチャー志向や給与重視など、一人ひとりの志向性が確認できるため、ターゲットに対して効果的です。このように、ペルソナによって選定した媒体を用いることで、求める人材にリーチしやすくなります。
募集要項や文面の作成
募集要項や文面を作成する際にも、ペルソナの設定は極めて役立ちます。具体的な候補者像をもとに、どのようなスキルや思考を求めているのかを整理することで、採用したい人材に即した内容が明確になります。また、文面に込めるメッセージをペルソナに合わせて調整することも重要です。
こうして作成された募集要項は、目指す候補者の心をつかみやすく、応募者数の増加にも繋がります。単なるマス向けのありきたりな内容では他社に埋もれてしまうため、ペルソナの視点に立ち、どんな募集要項やスカウト文面が魅力的かを考えることが重要です。
選考プロセスの設計
ペルソナを利用した選考プロセスの設計は、選考の質を高めるために不可欠です。ペルソナに基づいて、求める人物像が持つ特性やスキルを考慮した選考基準を設けると効果的です。具体的には、心の持ち方や価値観に基づく質問を用意することで、候補者のマッチ度をより客観的に評価できます。また、選考フロー自体もペルソナに沿った内容にすることで、全体の一貫性を保ちつつ、候補者に適した環境を提供することが可能です。
いくら募集やスカウトの段階で求職者を惹きつけることができても、その後の選考で志望度が下がってしまえば途中で辞退されてしまいます。選考は求職者をジャッジするためではなく、相互理解のために実施するものです。ペルソナに対してどのような選考体験を用意すれば自社への関心をさらに高められるかを考え、内定承諾まで繋がるストーリー設計を行うようにしましょう。
よくある誤りとその対策
ペルソナ設計において、よく見られる誤りとその対策について考えていきます。
優先順位の付け方
ペルソナ設定において、求める要素の優先順位を適切に付けることは大切です。企業は多くの理想を持ちがちですが、そのすべてを満たす人材を探すのは現実的ではありません。重要なスキルや特性を明確にし、それに基づいて優先順位を設定することが必須です。
たとえば、学歴はそこまで重要視しないが業務経験は必須とする場合や、業務経験が不足していても入社後の研修で補うなど、具体的な優先順位を決めておくとよいでしょう。このように考えることで、採用の際に偏りのない評価を実現できます。優先順位が明確になると、適切な人材を的確に選定するための基準が整い、効果的な採用活動が推進されます。
細かすぎる設定の回避
ペルソナを設定する際には、細かすぎる設定は避けるべきです。具体的な人物像を描くことは重要ですが、過度に詳細な要素が多すぎる場合、逆に情報が煩雑になり、意図が不明瞭になることがあります。設定内容は、必要最低限の情報に絞り、その中から核心となる特性や価値観を明確にすることが重要です。例えば、年齢や性別といった基本的な属性を押さえつつ、スキルや経験、働き方に関する具体的な価値観にフォーカスする方法が効果的です。
以下3つの基準フォーマットに沿って要件を1つずつ考えていくことで、社内に必要な人材の要件が整理されます。
MUST:必ず有しておくべき条件
WANT:あると望ましい条件
NEGATIVE:評価する必要のない項目
例えば、「TOEIC600点以上」といった業務で現状必要とされない要件を設定するのは好ましくありません。不要な要件を求人票に記載すると、能力があり、本来応募見込みのあった候補者が「自分は条件を満たさないから応募できない」と応募を控えてしまうリスクがあるためです。
採用ペルソナは絶対的な評価基準ではありません。「社員に与えられる裁量が大きい仕事であるため、自ら行動できる主体性のある求職者」を求めている場合、「積極的にリーダーを務めた経験」「独学で技術を学び、趣味で開発した経験」「自ら高い目標を定め、成果を出した経験」など、さまざまな経験や人物像が考えられます。仮に「リーダーを務めた経験がある」という人物像を細かく設定したからといって、必ずしもそこだけに固執する必要はありません。「なぜその人物像を設定したのか」「求めている要素は何か」という本来の目的に立ち返り、柔軟に対応するようにしましょう。
経営層と現場の巻き込み
特に、エンジニア採用などで人事担当者が業務内容を把握しきれていない場合、このようなズレが生じることがあります。採用ペルソナを設計する際には、必ず現場責任者の声を聞き、スキル面やチームメンバーとの相性も確認しましょう。
採用活動におけるズレがあると、「なかなか応募が集まらない」「選考通過率が上がらない」など、採用に苦戦する確率が高まります。最終面接では経営層が面接官となることが多いため、経営層も巻き込むことで、採用の失敗を防ぐことができます。双方の意見を反映させることで、企業全体が一致して求める人材像を共有することができ、採用活動における方向性がより明確になります。このアプローチにより、ペルソナ設計の精度が上がり、最適な人材を効率的に採用することが可能となります。
経営層と現場の巻き込み
ペルソナ設定は一度行ったら終わりではなく、定期的な見直しが欠かせません。市場の動向や職務内容の変化に応じて、理想とする人材像も変わる可能性があります。設計したペルソナが適切だったかどうか、定期的に見直すようにしましょう。採用成功につながらなかった場合は、応募数や選考通過率などのデータを分析し、原因を振り返ることが大切です。
また、採用成功につながった場合も、会社の方針や採用市場は刻々と変化するため、設定されたペルソナを再評価し、必要に応じてアップデートを行うことで、採用活動を常に新鮮な視点で進めることができます。
ペルソナを設定することで、今までよりも狭いマーケットで採用活動を行うことになるため、以前より母集団形成の数が減る可能性が高いでしょう。形成できる母集団の数が減れば、広いターゲットで採用活動をしていた時と同じ目標値を達成するのは困難となります。そのため、ターゲット数とペルソナ数の差異を比較し、その差をもとに目標とする数値を調整していくことが大切です。このフレキシブルさが求職者に対するアプローチを効果的にし、企業の成長に寄与することが期待されます。
まとめ
ペルソナ設計は、企業が求める理想的な人材像を具体化し、採用活動を効率的に進めるための重要なプロセスとなります。正確なペルソナを設定することで、自社の文化や価値観にフィットした人材を見つけやすくなるだけでなく、採用選考において一貫した判断基準を提供します。そのため、ペルソナ設計の段階で社員同士の認識を統一し、円滑に採用活動を進めることが重要です。挙げられたポイントを常に意識することで、企業は変化する市場環境にも柔軟に対応できるようになります。
また、母集団形成や選考の戦略を立てるためにも効果的なペルソナ設計は欠かせません。ペルソナを活用して採用活動の質を向上させ、強固な組織づくりに貢献することが期待されます。今後は、ペルソナ設定を活用し、企業に適した人材の獲得に向けた取り組みを進めることが重要です。ぜひ、自社にマッチした人材へアプローチする際に、ペルソナ設計を最大限に活用していきましょう。